
何処にいても感じる事が出来る殺気交じりの視線
風にのって聞こえてくる呻き声や狂喜に満ちた高笑い
混沌と争いの女神と同じ名の街
「上手い名前を付けたもんだ『奴ら』が喜びそうな街だな」
Dはボソりと呟き 意味ありげにニヤリと笑いつつ空気の悪さから淀んで先が見づらい周辺に目をやる
「まずはあそこか、」
そう呟きながら歩き出す視線の先には薄ぼんやりと赤い光を放つ看板が見える。
空腹もあり足早に進むが、自分を取り巻く空気の変化に気づき歩みを止め後ろの気配に振り向きもせず声をかける
「綺麗なお姉ちゃんならともかく むさい野郎らに飯なんぞ奢る気はねえぞ?」
気配を消して背後を取った男は気づかれた事に驚きながらも言い放つ
「この俺の気配をよく感じ取ったな小僧 褒めてやる」
「いや 気配よりむしろお前が臭せえんだよ 誰でも気づくって!」
軽い突っ込みに顔を真っ赤にして怒鳴り出し銃を抜く男
「この俺様を怒らせてただで済むとは思うなよ!!」
いかにも三流盗賊団の頭みたいな台詞を恥かしげもなく言い切る男の方に向き直る
胸元には銃が突きつけられる
「ほーう デザートイーグル50AEか 当たれば向こうの景色が見えるくらい身体にデカイ穴が開くな 当たればの話だがな?」
半場おちょくり気味に言った言葉を聞いた男の舎弟が まさに雑魚キャラがやりそうな甲高い笑い声を出しながら横から口を挟む
「ぎゃはははw いくらアニキでもその距離じゃ外さねぇ!w」
その言葉にムッとした男が舎弟を横目で見ながら文句を言う
その瞬間をDは見逃さなかった。
一瞬の隙を突いて胸元の銃に右手を伸ばしスライドを男の方に向かって動かす
チャンバー内の弾を排莢すると同時にマガジンキャッチを押す
ガチャリと重い音を立てながら地面に落ちる弾倉
「なに!?」
男は慌てて向き直り引き金を引くが弾の抜かれた銃ではネズミすら殺せない
地面に落ちたマガジンに手を伸ばすが指が触れる前に蹴り飛ばされる。
諦めてゆっくり顔を上げる男の鼻先にはDが抜き放った刀の切先が突きつけられている
「命の次に大事な刀で汚物は斬りたくねえ そこで腰抜かしてる舎弟連れてさっさと消えろ」
半分馬鹿にした口調でニヤリと笑いながらそう言われた男はモゴモゴと何かを言っている
腹も減ってイラッとしたDは鼻先から喉元に刃の向きを変える
慌てて後ろに下がり舎弟の襟首を掴み引きずるようにして逃げながら男は吐き捨てる
「おっ、おぼえてろよ!」
男の捨て台詞に、「最後まで雑魚キャラかい!」そう心の中で突っ込みつつも店に向かって歩き出す。
「くだらない所で時間をくっちまったな 腹減ったな~」
ぼんやりと光る赤と黒の看板店の名前は『Rouge Noir』この街にしては小綺麗な建物だ。
店内は結構広くテーブル席がいくつかあるが、奥のカウンター内にいる男以外に客の姿はない
棚の酒を並び替えていた男がDに気づき振り返り声をかけてくる
「いらっしゃいってか男かよ」
薄暗い店内客が男とわかるなりつまらなそうな顔してポケットからくしゃくしゃになったタバコを出し咥えて火をつける
マスターと思われるこの男。長身で髪は銀色、顔には傷がありお世辞にも人相が良いとは言えない。
ただハッキリと感じ取れる事が2つ1つはこの男の発する気配が『奴ら』と似ている いやむしろ同じだろうと確信出来る
もう1つは...そう頭のなかで整理してた時 男が口を開く
「あんた 今何か感じ取ったろう?」
男の言葉に一瞬身構えるD。男は言葉を続ける
「今あんたが思った通りだ」
常に相手の動きを先読みし冷静に行動するDですら刀を抜くタイミングが掴めない相手
全身に鳥肌が起ち 額から一筋の汗が流れ落ちる
どのくらいの時間が経ったであろう『奴ら』と対峙した時以外には感じたことのない感覚
今だに刀を抜けず左手の指はピクピクと小刻みに動いている
実際の時間としては数十秒であろう沈黙していた男が口を開く
「そうよ あんたが思った通り俺は女好きよ!つか大好きよ!!」
「そっちかい!!」
ガクッと膝を突いて男にに向かって言い放つD
「俺はあんたも女好きと見たが どうだ?」
男の言葉にDも素直に答えた「正解!」
空腹なのはもちろんな事 余計なエネルギーを消費しグッタリとカウンター席に座りマスターに声をかける
「すげー腹減ってるんだけどなんか食うものある?」
「そうだな 炒飯しか出来ないが、それでいいか?」
『なぜ炒飯!』 本当は声に出して突っ込みたかったがその気力さえもなく心の中で叫びつつ
空腹も限界を超え、力を振り絞った最後の一声でなんとか注文をする。
「もう、それで...」
厨房のない店 カウンターの隅で中華鍋を豪快に振りながら派手に火柱を立てて炒飯を作っている
しばらくして香ばしい匂いと共に目の前に出された超大盛り五目炒飯 しかも目玉焼きがトッピングされている
少し大きき目のレンゲで口の中に放り込みガチャガチャと音を立てながら食べている姿を見ながら男は話始める
「あんたが思った通り 俺はアイツらと同じ魔族だ まあ魔族以外の奴もいるみたいだがな」
口いっぱいに炒飯を頬張りレンゲを銜えたまま動きを止めるDの様子を見つつ話を続ける
「そしてあんたも アイツらと同じ世界から来た そうだろ?」
口の中の物をゆっくりと飲み込み話始める
「マスター 正解! 俺は『奴ら』を追ってこの世界に来た 『奴ら』に滅ぼされた世界から...」
会話を詰まらせ黙ったDに向かって強い口調で言い放つ
「あんたの世界は知らんが、ここは心配ねえ 強え~野郎ばかりだ! 女はもっと強いがな!」
そう言ってニヤリと笑う男に向かってDも同じように笑い返す。
「とにかく残さず綺麗に俺の特製炒飯を食えよ!」
そう言われて返事を返そうとした瞬間
言葉では言い表せない咆哮と共にとてつもなく重い空気の塊が入り口の扉を吹き飛ばし
目に見えない重圧は店内を突き抜け棚の酒瓶やグラス家具までもが一気に砕け散る
「出たな」
男は一言呟くと同時にシロナガスクジラでさえ楽に下ろせるであろう大きなガンブレードを抜き放つ
同時にDも自慢の愛刀を背中から抜き肩に抱える
男はDに向き直り
「俺の名は邪鬼 ただの変態紳士だ!」
この状況下で突っ込みは入れたくは無いと思いながらも
「変態かよ!しかも紳士ってなによ?!」
「って、俺はD(ディー)変態ではないが女は好きだ!」
そう言いながら お互い顔を見合わせてニヤリと笑い 店から飛び出して行く。
混沌と争いの女神と同じ名の街『DysnomiaCity』この物語りの結末はアナタ次第。
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